心臓
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症例 心膜心筋炎・肺炎を合併したマイコプラズマ感染症の1例
森田 久樹水重 克文平林 浩一中島 茂林 英宰深田 英利千田 彰一高光 義博松尾 裕英
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1987 年 19 巻 12 号 p. 1435-1440

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抄録
マイコプラズマ感染により,心膜心筋炎と肺炎を合併した症例を報告する.症例は59歳,男性.主訴は発熱,筋肉痛.入院時心電図では完全房室ブロック,完全右脚ブuック,広範囲のST上昇を認めた.胸部X線写真では,心胸郭比63%で,右肺野には炎症像を疑わせる異常陰影が認められた.CPKの上昇はなく,白血球数は正常であった.入院4日目,高度の咳漱,高熱が出現し,右肺野には明らかな炎症像が広範囲に出現した.ドキシサイクリンの投与で,肺炎は約10日で治癒した.心臓の調律は,入院3日目に心房細動に移行したが完全房室ブロックは続いた.入院16日目カウンターショックにて心房細動を洞調律にもどし,この時点ではII度房室ブロックがみられたが,発症約!カ月で正常洞調律に復した.各種ウイルス抗体価の有意な上昇はなく,マイコプラズマ抗体価はペア血清にて8倍の上昇がみられ,臨床所見とも併せて,本例はマイコプラズマ感染にまれな心膜心筋炎が,多彩な不整脈を呈し肺炎に合併して出現したものと考えられた.
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