心臓
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臨床 完全大血管転位症I型の肺高血圧
門間 和夫高尾 篤良安藤 正彦中沢 誠今井 康晴黒沢 博身
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1987 年 19 巻 5 号 p. 569-575

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抄録

完全大血管転位症1型の心内修復手術56例の手術前後の肺動脈圧と肺血管抵抗を調べた.手術前のカテーテル検査の年齢は1カ月ないし4歳であり,10例に動脈管開存症が合併していた.動脈管開存症を合併しない例では,年齢の進むにつれて肺動脈収縮期圧が上昇し,12カ月未満では26±9(n=25,mmHg,平均±標準偏差,以下同じ),12~18カ月では49±29(n=12),2~4歳では46±22(n=4)であった.これらの例の心内修復手術後の肺動脈圧は,手術前の値に近く,手術前に肺高血圧のある例では手術後も肺高血圧症が残った.この内2例は手術後に肺高血圧の残遺のために死亡した.動脈管開存症を合併すると肺高血圧症が高度であったが,手術後には月齢が小さい場合には肺動脈圧が低下した.初めに肺動脈絞掘術とBT短絡手術を行い二期的にJatene手術を行った例では,心内修復手術後には初めの手術の前と比較すると肺動脈圧と肺血管抵抗が上昇し,肺血管閉塞病変が進行していた.

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