心臓
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臨床 穿通性心外傷の臨床的検討
平田 展章榊原 哲夫野村 文一藤田 修弘
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1988 年 20 巻 12 号 p. 1414-1418

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抄録
1975年より1986年までの12年間に穿通性心外傷を7例経験した.全例男性であり,平均年齢は41±11歳であった.刺創を5例に認め,銃創を2例に認めた.損傷部位は左心室1例,右心室1例,右心房2例,心膜3例であった.6例に合併損傷を認め,5例に腹部臓器損傷を認めた.来院時全例ショック状態であったが,血圧を測定し得ないほどの重篤なショックを示した左心室損傷例と右心房損傷例の2例を失った(生存率71%).創刺入部位は7例中6例でSauerらのdanger zone内であり,残りの1例も近接していた.全例に緊急開胸術を施行した.
心腔損傷の4例中,DOAの1例(左心室損傷)を除く3例に心腔縫縮術を施行し止血し得た.体外循環を必要とした症例はなかった.重篤な腹部臓器損傷を合併した1例を失ったが,2例を救命し得た.また4例中2例に心タンポナーデを,2例に血胸を認めた.受傷より開胸術を施行し得るまでの時間は血胸を呈した症例では115分,120分であったが,心タンポナーデを呈した症例においては40分,65分と短く,術前循環動態を維持するのが困難であった.
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