抄録
臨床上不整脈が問題となる心筋梗塞(MI)59例,肥大型心筋症(HCM)41例を対象に,トレッドミル自覚的最大運動負荷法(TM),24時間ホルター心電図法(H)を施行し,心室性不整脈(VPC)出現の比較および心エコー図法,観血的方法との対比を行い,以下の所見を得た.(1)MI,HCMのVPC検出率は,ともにHがTMより有意に高率であった.(2)TMによるMIのVPCは運動によるST低下の有無,冠動脈病変数に関係せず,左室拡張末期圧高値(20mmHg以上)例で多かった.(3)Hによる重症不整脈出現は,MIでは左室機能低下例に,HCMでは心室内圧較差の認める例に多い傾向が認められた.以上,両疾患ともにVPCの検出はTHよりHで高いこと,両方法によるVPCの出現は主として左室機能とその異常に関係することが示された.