抄録
コラゲナーゼ処理により単離したモルモット心室筋細胞に吸引電極によるパッチ・クランプ法を適用して,disopyramideの活動電位・プラトー電流への効果を検討した.Disopyramide 5mg/l(14.5μM)は,心室筋活動電位プラトー相の低下と短縮,および活動電位持続時間の延長,すなわち,20%再分極時間(APD20)を対照時の86%に短縮,90%再分極時間(APD20)を119%に延長せしめた.膜電流に対して,disopyramideはCa2+電流のピーク値を対照時の85%に減少せしめ,時間依存性K+電流(Ik)を42%に減少せしめた.以上の結果から,disopyramideは心室筋活動電位のプラトー相の低下と短縮,持続時間の延長をもたらし,その効果は主にCa2+電流と時間依存性K+電流の抑制によることが判明した.