心臓
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症例 Isolation of right subclavianarteryを伴ったII群大血管転位症の1例
池田 義横田 祥夫岡本 文雄清田 芳春菅原 英次中山 正吾松野 修一愼野 征一郎吉川 栄治村上 洋介
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1988 年 20 巻 4 号 p. 434-438

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抄録
Isolation of asubclavian arteryとは一側の鎖骨下動脈が大動脈弓より分離し動脈管によって同側の肺動脈と接続するもので,まれな発生異常である.我々はII群完全大血管転位症に合併した本症を経験した.症例は2歳6カ月の女児で,動脈側スイッチ手術を施行したが,緊張した肺動脈により冠動脈が圧迫されたため左室不全をきたして術中死した.剖検にて右鎖骨下動脈のisolationが発見され,これが術中出血および術直後の肺動脈緊張の原因と考えられた.術前の大動脈造影をretrospectiveに観察すると,右鎖骨下動脈は大動脈から分岐しておらず,椎骨動脈からの側副血行により逆行性に造影され右肺動脈につながる像が認められた.文献的には右大動脈弓に合併した左鎖骨下動脈のisolationが多く,右鎖骨下動脈のisolationは,我々の調べ得た限りでは,これまでに自験例を含め9例の報告を認めるのみであった.
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