抄録
当センターで摘出術を施行した原発性心臓腫瘍は38例で,良性腫瘍34例,悪性腫瘍4例であった.そこで本症例を中心に文献的考察を加えて報告する。
良性腫瘍34例についてみると粘液腫33例,線維腫1例であった.良性粘液腫33例の手術時年齢は1歳から73歳,平均49歳で,男性13例,女性20例であった.発生部位は左房30例,右房2例,右室1例で,粘液腫全体の90%は左房粘液腫が占めていた.
粘液腫に合併した房室弁異常は僧帽弁閉鎖不全13例,三尖弁閉鎖不全1例であった.粘液腫の遊離による脳血栓の合併は6例,18%に認めていたが,術後の予後は良好で遠隔期死亡を認めていない。
悪性腫瘍についてみるとmalignant lymphoma1例,mahgnant fibrosarcoma 1例, fibroblastosarcoma1例,unclassified sarcoma1例であった.良性心臓腫瘍に比較して悪性腫瘍の予後は不良で,4例中3例は術後30日以内に死亡した.malignantfibrosarcomaの1例は術後6カ月後の現在再発を認めず健在である.