心臓
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研究 左室圧・容積曲線による心機能評価
心房ペーシング負荷における誘発虚血についての検討
藤原 秀臣廣江 道昭徳永 毅高橋 淳新田 順一城山 暢博雨宮 浩青沼 和隆家坂 義人関 延孝平井 正幸伴 隆一
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1989 年 21 巻 1 号 p. 11-17

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抄録
左室圧・容積曲線(P-V曲線)は全心周期における圧と容積の関係を連続して表示したもので,左室収縮能と同時に左室拡張機能を二次元の平面上に表現する.そこで,虚血性心疾患患者に心房ペーシングを施行し,心プール法を用いてP-V曲線を求め1虚血誘発による左心機能の変化について検討した.対象は虚血性心疾患10例で,心房ペーシングは刺激頻度を90/分→110/分(control-110)→ 最大ペーシング(max)→110/分(after-110)と連続的に変化させた.誘発虚血の診断は最大ペーシング負荷時に201T1-C1を静注し,心筋断層法を用いて行った。その結果,再分布を認めたものを虚血誘発群,認めなかったものを虚血非誘発群とした.P-V曲線は自動左心室輪郭描出法より求めた左室容積曲線と同一時間内の20心拍より求めた平均左室内圧曲線を心電図R波に同期させて求めた.その結果,いずれのペーシングレベルにおいても駆出特性には両群間で有意差を認めなかった.しかし,虚血誘発群において,最大充満率は低値を,左室拡張終期圧は高値を呈した.拡張期P-V曲線は虚壷非誘発群では左下方へ偏位したが,虚血誘発群では上方ないし右上方への偏位が明らかで,complianceの低下が示唆された.本法は反復施行が容易で,各種負荷試験による心機能の変化を評価するのに有用である.
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© 公益財団法人 日本心臓財団
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