抄録
肥大型心筋症患者においてはしばしば心室性期外収縮や非持続性心室頻拍がみられるが,持続性心室頻拍の合併はまれである.今回,我々は発作性持続性心室頻拍を合併した非閉塞性肥大型心筋症の1例を経験した.症例は60歳,男性で,胸痛,動悸,失神発作を主訴とし,心電図,心エコー図および左室造影より典型的な非閉塞性肥大型心筋症と診断された.頻拍発作時心電図および電気生理学的検査より右脚ブロック+右軸偏位型QRS波形を示す発作性持続性心室頻拍と診断され,心室内マッピングにより最早期興奮部位は左室後壁中央部と判明した.心室頻拍は本患者の予後を左右する重大な合併症であり,かかる症例はまれなので報告した.