心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
症例 Cushing症候群の手術後10年で右心系に多発性粘液腫を認めた1例
Syndromemyxomaと考えられる1例
西崎 良知三河内 弘時岡 正明西崎 進正岡 佳子谷崎 真行藤田 邦雄
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 21 巻 7 号 p. 889-893

詳細
抄録
我々は,今回右心系に多発性粘液腫を認めた22歳の患者を経験したが,本患者は13歳の時Cushing症候群として両側副腎の摘出術を行っており,術後の組織学的診断は副腎皮質の結節性異形成であった.その後ハイ.ドロコーチゾンの投与で経過を観察中であったが,昭和59年6月18日突然呼吸困難を起こし入院,心エコー断層にて右房に1ケ,右室に3ケの心臓腫瘍を認めた.手術的に摘出したが組織学的には粘液腫であった.その後の経過は良好であり,3年間の経過観察では腫瘍の再発は認めていない.本患者について検討すると,本患者は顔面,特に眼の周囲に多数の黒子があり,10年前には副腎の結節性異形成で起こったCuShing症候群が認められたこと,また心臓粘液腫は多発性のものであったことなどより,Vadailletらのいう“Syndrome myxoma”にあてはまるものと思われた.しかし彼らのいう家族遺伝性については本例では認められなかった,本症候群は外国では現在まで40例が興告されているが本邦においては1例の報告があるのみであり,今後の経過も含めて興味があると考えて報告した.
著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top