抄録
症例は初発時1歳9カ月の男児で,左肩甲骨に原発した線維肉腫の摘出手術から1年後に,肺転移巣と同時に左房,左室内の転移巣が心エコーにて発見された。化学療法に反応し,左房内に淡い陰影を残すのみとなったが,心転移から1年6カ月後に癌性収縮性心膜炎に至り死亡した.心膜切開術施行時の心膜生検で線維肉腫が確認された.左房,
左室内腫瘍の経過観察に心エコーは極めて有用であったが,心外膜や縦隔内の腫瘍は十分に捉えられず,腫瘍の全体像を捉えるのに時間を要した.心転移巣の診断に際しては,断層心エコーに加え,CTスキャンやMRI等の他の検査法を併用し,心内腔の腫瘍の心周囲への連続性や縦隔内腫瘍の存在を検討することが重要と考えられた.