心臓
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症例 イソプロテレノール投与により運動中の著明なTU波の異常が再現され,電極カテーテル押しつけ法で早期後脱分極が記録されたRomano-Ward症候群の1例
清水 渉大江 透下村 克朗神崎 徹土岡 由紀子松浦 秀夫梶山 梧朗
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1992 年 24 巻 11 号 p. 1313-1319

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抄録
運動負荷およびイソプロテレノール持続点滴により著明なTU波の異常を認め,電極カテーテル押しつけ法による単相性活動電位(monophasic action potential:MAP)で早期後脱分極(early afterdepolarizations:EAD)が記録されたRomano-Ward症候群の症例を経験した.症例は27歳の女性で,主訴は運動中の動悸,失神発作.安静時12誘導心電図では修正QT(QTc)時間は0.57sec1/2と延長していた.トレッドミル運動負荷試験,イソプロテレノール(Iso)1μg/分の持続点滴で,TU波の異常(TU波の後方成分の増高)を伴うQTc時間の延長を再現性をもって認め,TU alternansが出現した.Iso1μg/分の持続点滴中に右室前壁で記録したMAP第3相に,心電図上のTU波の異常に伴いEAD様humpの出現を認めた.このEAD様humpの出現に伴い90%MAP持続時間(MAPD90)は325msecからI s o 投与後4 2 0 m s e c へと延長した. I s o 投与による心電図上のTU波の異常は,プロプラノロール投与(10mg静注)で抑制されたが,ベラパミル(10mg静注),メキシレチン(125mg静注)前投与では抑制されなかった.
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