心臓
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症例 心膜穿刺液塗抹により診断可能であった結核性心膜炎の1例
中里 祐二羽里 信種
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1992 年 24 巻 2 号 p. 178-182

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抄録
症例:61歳,女性.体重減少,易疲労感を主訴に入院.入院時の胸部X線にて右肺野異常陰影と心拡大を認め,心エコー検査で大量の心膜液貯留が確認された.心膜穿刺液の塗抹により結核菌が検出され肺結核に伴う結核性心膜炎と診断した.INH,SM,RFPの三者併用療法を開始したが,肺結核の改善はみられたものの心膜液減少傾向は認められず,プレドニゾロン40mg/日より投与を開始した.一時的に炎症反応の改善,若干の心膜液の減少がみられたが,プレドニゾロンの減量に伴い再び炎症反応の憎悪および心膜液貯留増加が認められるようになった.そこで,心膜穿刺排液,プレドニゾロンを80mg/日に増量した.その結果,心膜液はしだいに減少,血沈,CRPなどの所見も改善し,プレドニゾロンの減量でも特に異常を認めず,また,収縮性心膜炎への移行を思わせる所見もなく,以後順調に経過している.心膜液より直接結核菌が検出された結核性心膜炎の例はまれと考え報告する.
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