心臓
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研究 完全型心内膜床欠損症の肺血管病変と肺生検診断による手術適応決定について
八巻 重雄安井 久喬角 秀秋米永 国宏中村 祐一郎菊池 利夫安喰 弘常本 実
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1992 年 24 巻 5 号 p. 515-522

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抄録

孤立性完全型心内膜床欠損症56例(平均年齢1歳6カ月)を対象として本症の閉塞性肺血管病変を解析した.Down症を伴う症例に肺小動脈内腔の閉塞とその末梢肺小動脈の中膜の萎縮を合わせ持つ,いわゆる絶対的手術不適応とその寸前の症例が8例(平均年齢9カ月)みられ本症の大きな特徴であった.この原因は本症では生後6 カ月頃に肺小動脈中膜の退縮が, 特にDown症では高度にみられ, 閉塞性肺血管病すい状態になっているためと考察された.以上よりDown症を伴う完全型心内膜床欠損症では生後6カ月以内に根治手術を行うことが望ましいが,肺血管抵抗が7単位・m2以上ときには肺生検により手術適応の診断を行うべきと考えられた.肺生検診断では絶対的手術不適応例かIPVD2.2以上の症例は根治手術不適応とし,Down症で高度の間質の気腫を伴う症例,persistent pul-monary hypertension of newborn,肺小動脈低形成を合併した症例は特に注意が必要と結論された.

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