心臓
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研究 亜硝酸薬類似作用を有するβ遮断薬nipradilolの労作性狭心症における血管拡張作用の意義
山辺 裕伊藤 和史矢坂 義則柿本 哲也名村 宏之橋本 泰則横山 光宏
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1992 年 24 巻 5 号 p. 523-528

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抄録

亜硝酸薬類似の血管拡張作用を有するβ遮断薬nipradilolの血管拡張作用が労作性狭心症の発作予防に臨床上有効な役割を果たているか否か明らかにすることを目的とした.20例の慢性安定型労作性狭心症を対象に,無投薬下運動試験とnipradilol投薬下(Nipr群10例)およびpropranolol投薬下(Prop群10例)の運動試験を行い,Swan-Ganzカテーテルによる血行動態の測定を行った.無投薬下試験と投薬下試験を同一運動量で比較した場合,心拍数とrate pressure productに対する抑制の程度は両薬剤で同一であったが,平均肺毛細管圧はnipradilolで28±9mmHgから24±8mmHg(p<O.05)へ有意に低下し前負荷軽減を示したのに対しpropranololでは27±7mmHgから29±7mmHg(ns)と有意の変化は示さず軽度上昇した.運動耐容時間はいずれの薬剤でも有意の延長がみられた.Nipradilolはβ遮断作用による心筋酸素消費の抑制に加えて,亜硝酸薬類似の前負荷軽減作用が臨床上心筋虚血の軽減に有効に作用する薬剤であることが示唆された.

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