1993 年 25 巻 12 号 p. 1454-1460
筋収縮はミオシン頭部(ミオシンサブフラグメント-1)がアクチンフィラメントと結合-変型-解離サイクルを行うことによっておこると考えられてきたが,種々のプローブやX線回折により筋肉の力発生と同期したミオシン頭部の変型をとらえようとする試みは未だ成功していない.一方,ミオシンサブフラグメント-2(S-2)は,ミオシン頭部とミオシンフィラメントを連結する単なる弾性体とみなされてきた.我々の研究によれば,筋肉の弾性はアクチンフィラメントに由来し,S-2は筋肉中でのATP加水分解と共役した張力発生に不可欠な役割を果たしている.