1993 年 25 巻 3 号 p. 315-319
59歳男性で心房中隔二次孔欠損症(以下ASD)に希有型房室結節リエントリー性頻拍(以下AVNRT)と発作性心房粗動(以下p-AF)を合併した症例に対し同時に手術を施行した.
AVNRTに対する手術はJohnson,Rossらの方法に準じ房室結節周囲を剥離,冠静脈洞周囲に凍結凝固を追加した.またp-AFに対しては心房電位のfragmentationを示す部位に凍結凝固を行った.術後AVNRTおよびp-AFは消失し,電気生理学的検査にても房室結節のslow pathwayの離断が確認された.
本例はASDとそれに合併するAVNRTとp-AFに対する一期的根治例であり,先天性心疾患と上室性頻脈性不整脈に対する一期的手術の可能性と有用性を示す貴重な症例と考えられた.