心臓
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症例 インターフェロンの心臓合併症に関する3症例の検討
酒井 隆小沢 秀樹佐伯 公子福田 正彦川口 英樹井関 治和工藤 樹彦大蔵 幹彦
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1995 年 27 巻 1 号 p. 62-69

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抄録
慢性活動性肝炎および腎細胞癌に対するインターフェロン使用頻度の急増に伴い,突然死の報告が注目されているが,国内では心臓合併症に関する報告例は極めてまれである.今回我々はインターフェロンの心臓合併症に関して貴重な3症例を経験したので報告する.
症例1は64歳女性.慢性活動性肝炎に対し平成4年12月1日よりインターフェロン900万単位連日筋注.16日から600万週3回筋注,21日突然冷汗を伴う激しい胸部圧迫感が出現し意識消失.モニター上VT~VF認めたためDC300W2回施行し洞調律に回復.しかし昏睡状態が持続し平成5年8月死亡した.
症例2は61歳男性.腎細胞癌に対し平成5年6月22日よりインターフェロン600万単位筋注.6月30日冷汗を伴う胸痛発作が出現し心電図上I,II,aVL,aVF,V2~6に著明なST上昇とT波増高を認めた.翌日胸痛が2回出現し,2回目の胸痛は60分以上持続したため緊急冠動脈造影を施行したが,狭窄病変は認めず,coronary spasmの関与が強く示唆された.
症例3は56歳女性.インターフェロン開始3週間目より毎回注射6時間後に胸痛発作が出現し,心電図上V2~4のT波逆転とST低下を認めた.インターフェロン中止後に胸部症状は消失し左前下行枝領域のmicrovascular anginaの可能性が考えられた.インターフェロンの心臓合併症として重症心室性不整脈の出現およびcoronary spasmに伴う心筋虚血の存在が考慮された.
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© 公益財団法人 日本心臓財団
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