心臓
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研究資料 本邦における無症候性心筋虚血の実態本邦における無症候性心筋虚血の実態
'92日本IBM寄付・日本心臓財団研究助成による
戸嶋 裕徳村山 正博岸田 浩甲谷 哲郎田辺 晃久友池 仁暢野原 隆司矢永 尚士横田 充弘
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1995 年 27 巻 1 号 p. 87-95

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抄録
多施設共同研究により,本邦における無症候性心筋虚血の実態調査を行った.COhnの分類に従って無症候性心筋虚血を分類し,虚血性心臓病の1病型であるCohn1型では胸痛歴のない対象における頻度調査を,またCohn2型,3型については虚血の診断基準と検出法を規定し,虚血性心臓病での病態調査を行い,あわせて無症候性心筋虚血が確認された虚血性心臓病の予後調査を行った.
健康と考えられた母集団3施設でのCohn1型の頻度は,それぞれ0.3%,1.3%,0%,平均0.6%であった.また何らかの循環器系の異常を呈する患者を対象にした運動負荷201T1心筋シンチグラフィでは4.3%に無症候性心筋虚血が確認された.虚血性心臓病における病態調査では,心筋梗塞の62.1%に,また狭心症の46.5%に無症候性心筋虚血が確認され,運動負荷,24時間Holter心電図,運動負荷201T1心筋シンチグラフィによる検出率は,それぞれ,それぞれ73%,22%,73%であった.平均23カ月の予後調査では,Cohn2型はCohn3型に比し,生存率,心無事故率とも低かったが,左心機能の低下が影響しているものと思われた.
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