心臓
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症例 心膜への形質細胞浸潤が認められた末端肥大症・陳旧性心筋梗塞の1例
荒木 勉清水 賢巳由雄 裕之井野 秀一馬渕 宏
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1995 年 27 巻 5 号 p. 434-439

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抄録

末端肥大症と陳旧性心筋梗塞を基礎疾患とし,心膜への形質細胞浸潤と収縮性心膜炎類似の血行動態を示した1例を経験したので報告する.症例は62歳男性で,55歳時に末端肥大症と診断されHardy手術を受けたが,術後も成長ホルモンの高値が持続したため放射線療法後ブロモクリプチン製剤の投与を受けていた.今回労作時呼吸困難と下腿浮腫を主訴に入院し,心臓カテーテル検査の結果,陳旧性心筋梗塞および心室瘤と診断され,心不全が内科的にコントロールできないこと,運動負荷にて心室頻拍が出現することより心室瘤切除術が施行された.術中所見では心膜がび漫性に硬く肥厚しており,その病理所見では形質細胞を主体としたリンパ単球系の著明な細胞浸潤が認められ,一部ではgerminal centerを形成していた.また心内圧所見では術前後を通して右房圧・右室拡張末期圧・肺毛細管楔入圧・左室拡張末期圧がともに高くほぼ等しい所見が認められた.心膜病変の原因については基礎疾患である心筋梗塞や末端肥大症との関連が疑われたが特定することはできなかった.形質細胞浸潤は心膜の組織所見として非常にまれと思われたので報告した.

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