1996 年 28 巻 12 号 p. 977-982
食事療法による減量とともに右心不全の改善が見られたが,左心機能障害が遷延化し心筋生検において線維化を認めたOSASの1例を経験したので報告する.
症例は33歳,男性.傾眠傾向と胸部不快感のため来院,胸部X線上著名な心拡大と低酸素血症を認めた.Apnea index 25.0回/時と高値でOSASと診断した.また両心機能障害の合併を認めた.減量とともにOSASは軽快し右心不全の改善は見られたが,左心機能障害は遷延化した.心内膜心筋生検を施行したところ,すでに心筋に線維化を認め,非可逆性の左室機能障害をきたしていると思われた.
拡張型心筋症において心筋の線維化と予後との関連性が示唆されているが,OSASにおいても,心筋生検での線維化の有無が予後規定因子として重要であると考えられた.