心臓
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症例 外傷性三尖弁閉鎖不全症受傷後46年を経過して弁形成術を施行した1例
服部 和樹竹井 春彦塚本 英人保浦 賢三
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1996 年 28 巻 8 号 p. 676-680

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抄録

非穿通性胸部外傷による三尖弁閉鎖不全症に対して受傷46年後に弁形成術が施行された.症例は66歳男性で,全身倦怠感,息切れを主訴に来院.心エコー検査で,右房,右室の著明な拡大,三尖弁の収縮期右房内への逸脱およびカラードップラー法で重度の三尖弁逆流が認められた.心臓カテーテル検査では,右房圧V波は22mmHgと上昇が認められたが,右室圧,肺動脈圧はほぼ正常範囲であった.胸部打撲の既往があり,その後心雑音が生じていることより,外傷性三尖弁閉鎖不全症と診断された.内科的治療で症状の改善が見られないため,手術が施行された.手術所見は,三尖弁輪の拡大,三尖弁前尖の裂孔および前尖の腱索断裂が認められ,腱索の再建後,弁輪縫縮術が行われ経過は良好である.
このような長期の経過後,手術が施行された例はきわめてまれで,本邦報告32例の集計と合わせ報告する.

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