心臓
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臨床 拡張型心筋症の心電図所見と予後
斎藤 靖浩鼠尾 祥三江幡 淳泉 礼司井上 省三寒川 昌信河原 洋介田中 淳二神山 憲王末綱 竜士沢山 俊民
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1999 年 31 巻 1 号 p. 13-18

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抄録
拡張型心筋症(DCM)では様々な心電図異常がみられ,心筋障害の状態をよく反映している.今回,主として心電図左側胸部誘導QRS形態に注目して,本症の3年予後の予測を試みた.対象は当科に入院したDCM患者34名.3年予後を予測するため,生存例では検索時より3年前の心電図を,死亡例では死亡3年前の心電図を,また受診期間が3年未満の死亡例では初診時の心電図をそれぞれ詳細に検討した.
結果:死亡群(16例)は生存群(18例)に比してV1のPTF(P-terminal force)は有意に大(p<0.05),V5のR波高は低い傾向,QRS幅は延長傾向であった(0.05<p<0.1).左側胸部誘導のQRSがnotched RあるいはM typeを示す例は,死亡群(16例中14例)では生存群(18例中5例)に比し有意に多かった(p<0.Ol).M typeは突然死6例中4例,非突然死(生存例と心不全死例)28例中2例で,突然死例に有意に多く認められた(p<0.01).
今回の結果から,左側胸部誘導のQRSにnotched RあるいはM typeを認める例は死亡率が高く(88%),特にM typeは突然死例の67%に認められ,DCMの新しい心電図指標となる可能性が示唆された.
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© 公益財団法人 日本心臓財団
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