1999 年 31 巻 7 号 p. 542-546
PTCA後比較的早期に急速に進行する冠状動脈狭窄(rapid progression)の頻度および特徴について検討した.Rapid progressionの定義は,PTCA後1年以内の冠動脈造影で,再狭窄とは別に新たに出現した狭窄病変とした.Rapid progression例数は以後各年次における新たな有意病変の出現した症例数より有意に高かった.Rapid progression例14例についてPTCA術中のガイドカテーテル,バルーンカテーテルおよびガイドワイヤーによる物理的な損傷の影響を検討した.その結果,ガイドカテーテルの刺激が考えられるものはなく,バルーンカテーテルの通過した部位に発生したものも1例のみであった.また,ガイドワイヤーの通過した部位の発生は3例であった.少なくともPTCAによる物理的刺激以外の何らかの要因が存在すると考えられるが,冠危険因子にはその特徴は見出せなかった.