心臓
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第11回心臓性急死研究会 胸部交感神経節ブロック後に持続性心室頻拍が出現した陳旧性心筋梗塞例の心拍変動周波数解析
山田 さつき久賀 圭祐瀬尾 由広江田 一彦軸屋 智昭三井 利夫山口 巖
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1999 年 31 巻 Supplement4 号 p. 53-58

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抄録
心室性不整脈の発生には自律神経の関与があり,心拍変動の低下は陳旧性心筋梗塞(OMI)例の突然死予測因子とみなされている.先天性QT延長症候群では交感神経節ブロックが有効であるが,OMIではβ 遮断薬が選択されることが多いが, O M I における交感神経節ブロックの効果は明らかでない.【症例】54歳,男性.39歳の時OMIと診断され,47歳より心室期外収縮に対してメキシレチン内服を開始された.1995年3月(51歳),Buerger病に対して左胸部交感神経節(第2,3胸部交感神経節)ブロックが行われた.同年11月9日,消化管感染による敗血症性ショックとなり,持続性心室頻拍(VT)を併発した.VT非出現日の低周波成分(LF)/高周波成分(HF)比は最高値1.2(起床時),夜間睡眠時は0.9であったのに対し,VT出現日は夜間睡眠時もLF/HF比は1.7と高値であった.VT出現直前にはLF,HFいずれも低下し,LF/HF比は2.1に上昇した.その後も発熱,労作に伴いVTが出現し,臨床経過および心拍変動周波数解析から交感神経緊張尤進がVT出現に関与することが示唆された.本症例に対する胸部交感神経節ブロックはBuerger病に対しては有効であったが,心臓に対する明らかな除神経効果は認められなかった.
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