心臓
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症例 βブロッカーが著効を示した拡張型心筋症の1小児例
片山 博視清水 達雄河上 千尋田中 啓子玉井 浩
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2000 年 32 巻 7 号 p. 565-572

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抄録

βブロッカー療法により,心不全症状が著明に改善した特発性拡張型心筋症の1例を経験した.症例は11歳時に発症した13歳の男児で,入院後カテコールアミンの投与などで心不全症状は改善したが,その離脱には難渋し,ドカルパミンの内服を必要とした.利尿薬,強心薬,ACE阻害薬(エナラプリル)などに加え,βブロッカー(ビソプロロール)も開始した.ビソプロロールは0.15mgときわめて少量から開始したが,導入時および増量直後に一過性の血圧低下を認めた.しかし,その後症状は安定し退院後も元気に通学している.MIBG心筋シンチグラフィーでも治療後にH/M比の低下,ウォッシュアウトレートの亢進などの異常所見が改善された.また,βブロッカー治療前のANP,BNPは異常高値を認めていたが,治療後,臨床症状の改善とともにすみやかに低下した.
βブロッカー療法は小児の拡張型心筋症においても有効な治療法であると考えられた.しかし,βブロッカー療法に際しては緩徐な導入,増量が重要である.

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