心臓
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第13回心臓性急死研究会 ピルジカイニドにて心室細動が誘発された特発性心室細動の1例
村井 久純阪上 学国枝 武重平澤 元朗小林 大祐佐伯 隆広湯淺 豊司長井 英夫小林 健一高田 重男島倉 淳泰
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2001 年 33 巻 Supplement3 号 p. 117-122

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抄録

我々はピルジカイニド投与により興味ある心電図変化を示した特発性心室細動の1例を経験した.症例は60歳男性,平成10年12月,家族の眼前で失神.救急隊到着時に心室細動(VF)を認め,直流通電にて洞調律に復した.精査上,基礎心疾患を認めず電気生理学的検査においてもVFは誘発されなかった.その後植え込み型除細動器(ICD)を装着し外来経過観察とした.平成12年に2回,ICDの作動を認めたため潜在性Brugada症候群の可能性を考えピルジカイニド負荷検査を行った.負荷直後より心室性期外収縮(PVC)が頻発し,45分後にVFが認められICDの作動により停止した.この際, PVC後の代償性休止期を伴ったときに胸部誘導V1-2のR'-ST上昇がより著明にみられBrugada型心電図に近い波形を呈した.また,V4-6のQRS終末部にノッチの増高も認めた.Brugada症候群の類縁疾患である可能性も考えられ,興味ある1例と考えられた.

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