心臓
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第13回心臓性急死研究会 Brugada症候群でのI群薬剤負荷によるST変化の変動について
鷲塚 隆池主 雅臣保坂 幸男渡部 裕奥村 浩史田川 実古嶋 博司阿部 晃相澤 義房
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2001 年 33 巻 Supplement3 号 p. 123-127

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抄録

Brugada症候群は体表面心電図上,右側胸部誘導でのST上昇と右脚ブロック波形を特徴とし,心室細動により心臓突然死をきたす.Brugada症候群の心電図変化は自律神経や各種薬剤により修飾されることや,日差変動を有することが報告され,その診断にIa, Ic群薬剤が有用とされている.今回,我々は各種I群薬剤に対する,STレベルの反応性の差異の有無を検討したので報告する.症例はBrugada型心電図が記録され,心臓電気生理検査を施行した5症例(男性5例,平均年齢59±14歳)で,うち3例では臨床的に心室細動が確認されている.3例ともflecainide(2mg/kg),procainamide(10mg/kg)およびpilsicainide(1mg/kg)の静注による薬剤負荷を行い,V2誘導でのST変化の程度,QRS幅および心拍数の変化を比較検討した.5例中2例で薬剤負荷試験でV2誘導でのST上昇の程度に0.15mV以上の差異を認めた。QRS幅はいずれの薬剤でも有意に延長したが,その変化には薬剤間で差異は認めなかった.以上の結果よりBrugada症候群が疑われる症例では初回の負荷試験が陰性の場合でも,再検査の必要性を検討する必要がある.

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