心臓
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第13回心臓性急死研究会 高度房室ブロックと非持続性心室頻拍を認める運動時失神例
栗田 康生三田村 秀雄高月 誠司岩田 道圭林田 健太郎大橋 成孝福田 有希子家田 真樹杵渕 修三好 俊一郎原 幹小川 聡石綿 清雄百村 伸一
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2001 年 33 巻 Supplement3 号 p. 19-23

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抄録

症例は父親も完全房室ブロックを認める30歳男性.1999年12月と2000年3月,いずれも朝の通動途中に駅の階段を駆け上った直後に失神を来たし,当院に紹介入院した.心エコー,冠動脈造影,左室造影は正常で,ホルター心電図は高度房室ブロックでPP<440msのときに7連発の非持続性心室頻拍(NSVT)を認めた.電気生理検査(EPS)では洞機能は正常であったが,HVレベルの高度房室ブロックを認め,イソプロテレノール負荷下早期期外刺激で260/分の15連発のNSVTが誘発された.運動負宿中も高度房室ブロックであったが, P P <680ms ,RR<800ms, QTcO.447で心室性期外収縮(PVC)の出現を認め,最大運動負荷時PP600ms,RR680ms, QTcO.485でPVC3段脈となり,運動終了後PVCは消失した.高度房室ブロックであるが失神は運動時のみで,運動に伴いQTc延長とPVCが増加し,torsade de pointesの可能性も疑われた.房室ブロックのみならずNSVTによる失神の可能性もあり,DDDペースメーカーのみでは不十分と考えdual chamberの植込み型除細動器(ICD)を植込んだ.房室ブロックを認める失神例でも頻脈性不整脈が関わっている可能性を念頭におき,諸検査をすすめるべきと考えられた.

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