心臓
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第13回心臓性急死研究会 超急性期の塩酸ニフェカラント投与が有効であった急性心筋梗塞に伴う心室頻拍心室細動の3例
武田 聡尾畑 純栄輿水 崇鏡岩崎 宏一木 美英松山 謙露口 直彦
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2001 年 33 巻 Supplement3 号 p. 91-96

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抄録

塩酸ニフェカラントの心室頻拍心室細動への有効性の報告は多いが,急性心筋梗塞,特に超急性期での有効性の報告は機序的に不明な点もあり少ない.今回我々は,超急性期の当薬剤の投与が有効であった急性心筋梗塞の3例を経験したので,ここに報告する.
症例は右冠動脈2例,左冠動脈前下行枝1例の急性心筋梗塞症例.1例は冠動脈内ステント留置治療のみであったが,残り2例はステント留置治療に加えIABPおよびIABP+PCPSを使用した.1例は心室頻拍持続中より当薬剤静注を行い頻拍は投与中に停止した.残りの2例では当薬剤投与前より電気的除細動を繰り返していたが再発性,当薬剤静注のみでは頻拍発作は停止しなかったが,その後の1回の電気的除細動にて発作は停止して,その後は頻拍の再発は認められなかった.
これら今回の3症例より,当薬剤の急性心筋梗塞における心室頻拍心室細動への頻拍停止効果および再発予防効果での有効性を確認できた.当薬剤の投与は今後の急性心筋梗塞,超急性期の難治性心室頻拍心室細動治療における一つの治療選択としての可能性を示唆するものである.

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