抄録
臨床における心房細動に対するupstream治療としては,ARB,ACE阻害薬,β遮断薬,スタチンなどを使って新規発症や再発に与える影響をみた報告がある.このうちARB,ACE阻害薬などは,生命予後を評価する大規模臨床試験におけるサブ解析あるいは後付け解析として得られたデータに留まるものの,メタ解析からその有用性が示唆される.スタチンの心房細動新規発症・再発に対する有用性は,まだ十分には示されていない.
発作性心募細動(PAF)にupstream治療を行うことで進展を予防するという臨床家の願いが可能かどうかは,多施設・無作為化のもと携帯型電話転送心電図を使った信頼度の高い臨床試験でこそ確かめられなくてはならない.日本においてわれわれの手で,その解答が得られることを期待したい.