心臓
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37 巻, 9 号
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  • 古川 哲史
    2005 年 37 巻 9 号 p. 701
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • HEART's Selection cardiac resynchronization therapy
    松田 直樹
    2005 年 37 巻 9 号 p. 703
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 吉田 幸彦
    2005 年 37 巻 9 号 p. 704-710
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • エコーからのアプローチ
    神崎 秀明
    2005 年 37 巻 9 号 p. 711-717
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 松田 直樹
    2005 年 37 巻 9 号 p. 718-723
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 夏秋 正文, 古賀 秀剛, 村山 順一, 大坪 諭, 古川 浩二郎, 力武 一久, 岡崎 幸生, 伊藤 翼
    2005 年 37 巻 9 号 p. 725-732
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心臓手術前後に心房細動(ないし心房粗動)が持続する例や術後新規に発生する心房細動例では心事故発生などの要因となり, 特に頻脈傾向のある症例においては心機能の低下を併発しやすい.Angiotensin II type 1 receptor blocker(ARB)が,このような持続する慢性心房細動(粗動)に伴う頻脈によって術後心不全症状を併発した例に対し,有効かどうかを検討した.対象症例は不整脈に伴う動悸や労作時呼吸困難などの自覚症状を有し,降圧剤をすでに服用し術前および術後ともに心房細動が持続するか,あるいは術後新規に1カ月以上心房細動が持続した左室駆出率40%以上の術後の16例である.ARBの一種カンデサルタンを1日1回4mg投与した.カンデサルタン投与3カ月後の自覚症状, 心リズム, 心拍数, B 型ナトリウム利尿ペプチド(BNP) 値, 血圧, 心胸郭比, 左室駆出率などを比較検討した.心リズムは16例中3例において投与後洞調律に回復した.16例の平均心拍数は投与前は90/分,投与後は80/分と有意に低下した.BNP値は投与前は112pg/mLに対し,投与後は83pg/mLと有意に減少した.収縮期血圧も有意に低下した.心胸郭比および心エコーによる左室駆出率は,投与後において投与前に比較し有意に改善を認めた.カンデサルタンは術後心房細動合併例の頻脈の軽減に有効であるとともに,3例では心房細動(粗動)の停止効果が認められた.一方対照となるカンデサルタン非投与例では心拍数の変化は少なく,心房細動と頻脈が持続した.カンデサルタンは術後心房細動を有する例の心不全併発を制御し,遠隔成績の改善に寄与する可能性が示唆された.
  • 内科医の視点を持った外科医
    西田 博
    2005 年 37 巻 9 号 p. 733-734
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 上野 雅史, 林 孝浩, 木村 彰男, 清島 尚, 笹川 淳, 秋山 静太, 元木 康一郎, 益永 信隆, 平野 豊, 石川 欽司
    2005 年 37 巻 9 号 p. 735-740
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞の血栓溶解薬による重篤な肺出血の症例を報告する.
    症例は64歳の男性で,広範前壁急性心筋梗塞で当院CCUに入院となり,発症約3時間後に改変型組織プラスミノーゲンアクチベータ(モンテプラーゼ137.5万単位)を1分かけて静脈内投与した.発症4時間後の冠動脈造影検査で左冠動脈seg7が99%狭窄でTIMI3血流に再開通し,ステント留置術を追加施行した.投与9時間後から呼吸困難が出現し,約200mLの喀血に引き続き低酸素血症となったため気管内挿管を行い,呼吸管理を行った.胸部X線像で左右両肺野に広範な浸潤影を認め,気管支鏡で各気管支からびまん性の出血が確認できた.肺疾患の既往はなく,アレルギー反応も認めないことから,血栓溶解薬によるびまん性肺出血と診断した.トロンビン末を2,000単位散布し,止血した後は一時浸潤影の改善を認めたが,著明な肺胞低換気,高炭酸ガス血症が遷延し,第113病日に死亡した.両肺の剖検所見は,肉眼的所見では割面が暗赤色で肝臓様充実性病変を呈し,組織学的所見は肺胞中隔にびまん性の線維性肥厚,肺胞腔にヘモジデリンを貧食したマクロファージの浸潤を認めた.血栓溶解療法後にびまん性肺出血を合併し,重篤な呼吸不全状態が持続し死亡した症例を経験したため報告する.
  • 木村 一雄
    2005 年 37 巻 9 号 p. 741-742
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 佐多 直幸, 田上 和幸, 浜田 直和, 堀之内 尚志, 網谷 滋, 宮原 健吉, 山下 拓哉, 森山 由紀則
    2005 年 37 巻 9 号 p. 743-746
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    大動脈弁閉鎖不全症の原因としては,大動脈弁の先天的要因,後天性器質的変化(リウマチ性,感染性心内膜炎,梅毒,動脈硬化など),上行大動脈および大動脈弁輪の異常(解離性動脈瘤,大動脈弁輪拡張症,大動脈炎など)がある.なかでも急性型の原因としては,一般的に,感染,大動脈解離,外傷が挙げられるが,急性発症での孤立性の大動脈弁交連部の断裂もまれながら報告されている.今回,慢性炎症性腸疾患で長期治療中の患者に発症した,交連部断裂による急性大動脈弁閉鎖不全に明らかに病変の連続性がない上行大動脈解離を合併した症例を経験した.
    症例は61歳の女性で,呼吸苦を主訴に来院した.潰瘍性大腸炎で長期治療中であるものの,明らかな外傷などの既往はない.精査の結果,A型大動脈解離に伴う大動脈弁閉鎖不全(AR)IV度と診断し,体外循環下に根治術を施行した.手術所見ではARの原因は別個に発生した大動脈弁交連部の断裂であり,大動脈解離病変との連続性はなかった.その発症の機序については断定できないが,連続性のない上行大動脈解離と大動脈弁の交連部の断裂が別個に存在したことはまれな例と考えられ,今回報告した.
  • 佐藤 俊一, 丸山 義明, 井上 芳郎, 湯原 幹夫, 眞崎 暢之, 神山 哲男, 佐々木 修, 高橋 一哲, 西岡 利彦, 伊藤 博之, ...
    2005 年 37 巻 9 号 p. 747-751
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,女性. Systemic Iupus erythematosus(SLE) , 高血圧, 陳旧性脳梗塞, 陳旧性心筋梗塞の診断通院中であった.2001年9月14日午後, 突然胸痛が出現し, ニトログリセリン舌下にて改善しないため, 救急車にて当科外来受診.心電図検査にて,急性心筋梗塞を疑われ入院となった.入院後胸部X線で縦隔の拡大を認め,心臓超音波検査で上行大動脈の拡大とflapが疑われたため,急性大動脈解離に合併した下壁梗塞と診断し,血圧コントロールによる保存的治療を開始した.9月27日に心臓カテーテル検査を施行.上行大動脈の解離のほかに,左前下行枝の完全閉塞と右冠動脈入口部の解離が確認されたため,10月22日に上行弓部大動脈人工血管置換術と冠動脈バイパス手術が施行された.
    SLE患者が血栓性疾患を起こしやすいことはよく知られているが,急性大動脈解離と急性心筋梗塞の合併例は少なく,今後注意すべき疾患として報告する.
  • 安藤 太三
    2005 年 37 巻 9 号 p. 752-753
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 山口洋先生に聞く
    2005 年 37 巻 9 号 p. 755-768
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 2005 年 37 巻 9 号 p. 769-770
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • PT-INR 1.6-2.1でのコントロールの可能性について
    是恒 之宏
    2005 年 37 巻 9 号 p. 771-772
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    日本循環器学会学術委員会の合同研究班による「心房細動治療(薬物)ガイドライン」では,リスク因子(高血圧,糖尿病, 塞栓症の既往, うっ血性心不全) を持たない75歳以上の非弁膜性心房細動(NVAF) 患者に対して, ワルファリン投与[プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)1.6-2.6]を推奨している.しかし,実際は出血への危惧のために十分なワルファリン投与が行われていないのが現状である.
    そこでわれわれは,高齢者により安全・確実にワルファリン投与による抗血栓療法を行うことができるように,ガイドライン推奨の下半分,すなわち,PT-INR1.6-2.1でのコントロールを目標として,ワルファリン投与中NVAF患者をPT-INR1.6-2.1目標群(A群:39例)と1.6-2.1目標群(B群:40例,対照群) に分け比較検討した. その結果,A群ではPT-INRの下限が1.6とB群と同じであるにもかかわらず,PT-INR 1.6未満となる頻度がB群の約2倍になり血栓塞栓のリスクが増加する可能性が示唆された.
  • 樗木 晶子, 真茅 みゆき, 小池 城司, 砂川 賢二, 加治 良一, 伊東 裕幸, 原田 実根, 丸 山徹
    2005 年 37 巻 9 号 p. 773-774
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    発作性心房細動(PAF)80例および慢性心房細動(CAF)153例を対象に,血栓塞栓症発症の危険因子と発症予防の方策について検討した.
    血栓塞栓症の発生率はPAFで12.5%,CAFで19.6%であった.僧帽弁狭窄症や高血圧などの心疾患の合併が,PAFやCAFにおける血栓塞栓症の危険因子であった.PAFにおいては,男性,罹病期間が長いこと,発作頻度が高いことが関係していた.抗血小板薬,抗凝固薬の有無と血栓塞栓症との関係では,PAF,CAFともにワルファリン投与群で多かった.本研究の対象には血栓塞栓症の発症リスクが高いと言われている僧帽弁狭窄症などが多く含まれており,そのような症例に対して抗凝固療法がなされていたにもかかわらず血栓塞栓症が発症していた.ワルファリンの効果を不安定にする飲食物に対する患者指導が必要と思われた.
  • 脳塞栓発症との関連性から
    柚須 悟, 池田 隆徳, 石黒 晴久, 阿部 敦子, 米良 尚晃, 谷合 誠一, 中村 健太郎, 四倉 正之, 吉野 秀朗
    2005 年 37 巻 9 号 p. 775-776
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    当施設受診中の発作性心房細動(PAF)患者250例を対象に,脳塞栓予防における心房細動発作時の心拍数調節の意義を検討し,得られた結果から,どのような薬物療法が塞栓予防に適しているかについて検:討を試みた.脳塞栓発症群(26例)と非発症群(224例)で,年齢,性別,基礎疾患,内服薬などに有意差は認められなかったが,ワルファリンを服用している症例どうしの比較では,脳塞栓発症群(ll例)の方が,非発症群(70例)に比べてPT-INR値が高い傾向が認められた.そこで両群の心房細動発作H寺の心拍数を比較したところ,最大心拍数および平均心拍数は脳塞栓発症群のほうが有意に大きいことが示された。これらの知見から,PAF発作時の心拍数と脳塞栓の発症には関連性があり,発作時の心拍数を調節することは脳塞栓の予防につながる可能性があると考えられる.
  • 下川 淳一, 横式 尚司, 安藤 康博, 佐々木 孝治, 筒井 裕之, 村上 智明, 武田 充人
    2005 年 37 巻 9 号 p. 777-778
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    幼児期に洞不全症候群を発症し,その後心房停止へと進行した小児患者の一例を経験した.この症例は,無症候性の徐脈牲不整脈で,心筋生検,胸部X線写真,心エコーで器質的心疾患を示唆する所見を認めなかったが,心房興奮はごく一部を除いて消失していた.運動負荷における心拍数上昇は保たれており,His束近傍,右房の頻回ペーシングで房室結節は抑制されなかった.Narrow QRSにHis東電位が先行し,房室結節調律が不焼則ながらも存在していた.ペースメーカを用いずに,心拍数上昇を期待してシロスタゾール100rng/日を投与したところ,洞調律への復帰とホルター心電図所見の著明な改善を認めた.
  • 柴田 仁太郎, 中島 りつ子, 篠田 尚克
    2005 年 37 巻 9 号 p. 779-780
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    平均3種類のNaチャネル遮断薬およびベプリジルがリズムコントロール無効であった心房細動15症例に対し,ソタロールの臨床的有用性を検討した.ソタロールは80mg/日より開始し,1週間ごとに漸増し,副作用などがなければ最大用量320mgまで増量した.ソタロールの効果判定評価項Hは,心房細動抑制作/三9,心拍数揮制作用,⊥llエ圧降下作弄臥および副作用である.結果は心房細動停止2例(13%),レートコントロールのみ得られたものは8例(53%)であった.ソタロールの慢性投与後にはQT間踊は延長し,収縮期および拡張期血圧,心拍数はそれぞれ低下した.多種の抗不整脈薬が無効な心房細動に対して,ソタロールはレートコントロールに優れ,リズムコントロールにはあまり有用でないことが示された.
  • 高木 明彦, 中沢 潔, 岸 良示, 長田 圭三, 桜井 庸晴, 西尾 智, 松田 央郎, 藤田 禎規, 三宅 良彦
    2005 年 37 巻 9 号 p. 781-782
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    発作性心房細動(心房細動;AF)に対する治療では,患者の症状を軽減し,QOLを改善させることが重要である.以前われわれが行った検討では,ベプリジル投与患者のQOL改善が目立った.そこで,ベプリジルがQOLを改善させる要因を検討した.対象は心房不整脈治療目的にベプリジルを投与した39例(男性31例,女性8例,平均年齢66.2±12.6歳).ベプリジル投与後33例(84.6%)で症状の改善を認め,その内,洞調律が維持されていたものは10例(25.6%),発作頻度・持続時間が改善したものは18例(46.2%)であった.AF発作の程度が不変であるにもかかわらず,症状の改善を認めたものが5例(12.8%)存在した.AF発作時の心拍数は,ベプリジル投与後有意に低下していた.心拍数調節薬の併用は,他の抗不整脈薬投与患者よりも少なかった.著明にQTが延長した症例はなく,継続投与が不可能であったのは,39例中洞停止の1例(2.6%)のみであった.
    ベプリジルはリズムコントロールだけでなくレートコントロールも良好となる特徴を持つ.たとえAF発作の程度が不変でも,症状の改善を認めることがあり,QOL改善には優れた抗不整脈薬であると考えられる.
  • 西田 邦洋, 藤木 明, 阪部 優夫, 常田 孝幸, 菅生 昌高, 岩本 譲太郎, 水牧 功一, 井上 博
    2005 年 37 巻 9 号 p. 783-784
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    房室結節アブレーションを施行し,80/分で心室ペーシングを行い,400/分の心房高頻度刺激を3週間施行して作成した房室結節遮断イヌ心房高頻度刺激モデルを用いて,電気的リモデリングの特徴から,IK,プロッカーE4031の効果を検討した.E4031投与量は,導人時に30μg/kg/3分(iv)で,維持量は0.1μg/kg/分(div)であった.本モデルにE4031を投与したところ,不応期延長作用として,逆使用頻度依存性の消失,徐脈下での不応期延長作用の低下を認めたが,頻脈下での不応期延長作用は保たれた.しかし,心房細動の誘発率・持続時間には,明らかな改善効果は認められなかった。以上から,本モデルにおける心房細動の機序として,心房有効不応期の短縮や伝導速度の低下以外の要因の関与が示唆された.
  • 鈴木 誠, 一原 直昭, 吉川 俊治, 佐藤 俊一, 荒川 鉄雄, 大原 貴裕, アルゴハリ ・マグディー, 松村 昭彦, 橋本 裕二
    2005 年 37 巻 9 号 p. 785-786
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    抗不整脈薬による除細動が無効,経食道心エコー(TEE)で左房内血栓が確認されない患者で,自覚症状が強いために電気的除細動を希望した持続性心房細動患者連続81例を対象に,心房細動再発の予測因子を後ろ向きに検討した.洞調律維持53例(65%)と心房細動π発28例(35%)では,年齢,性,左室駆出率,左房径,左心耳血流速度,ACE阻害薬,ARBの使川率に違いは認められなかったが,電気的除細動の閾値は洞調律維持例で有意に低く,スタチン製剤服用率は洞調律維持例で有意に高かった.また,年齢,左房径,左心耳流速の3因子について,患者を層別化して慢性化率を検討したところ,左房径50mm以上の症例で慢性化率が有意に高かった.
  • RAS抑制薬とCa拮抗薬の比較
    佐々木 紗栄, 庭野 慎一, 弓削 大, 今木 隆太, 平澤 正次, 佐藤 大輔, 佐々木 毅, 脇坂 裕子, 森ロ 昌彦, 和泉 徹
    2005 年 37 巻 9 号 p. 787-788
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    当科で高血圧治療目的に6カ月以上,同一の降圧薬の継続投与を受けている1.160症例を対象に,経過観察中の心房細動新規発症率,性別, 年齢,治療中の血圧値,心臓超音波検査における左房径について比較検討した.経過観察中の心房細動新規発症率は,レニンーアンジオテンシン系(RAS)抑制薬群(760例)では1.5%,Ca拮抗薬群(400例)では0.2%と,RAS抑制薬群で有意に高かった.両群の臨床的背景を比較したところ,男女比,年齢,高血圧の罹患歴,糖尿病・高脂血症などの合併比率,観察期間に両群間で有意差を認めなかったが,収縮期血圧および左房径はRAS抑制薬群で有意に高値であった.RAS抑制薬は,降圧目標値を達成しない不十分な投与下では,必ずしも心房細動の新規発症を抑制できず,適切な降圧目標値の設定とその達成が重要と考えられる.
  • 玉置 俊介, 三崎 尚之, 山田 貴久, 浅井 光俊, 牧野 信彦, 木岡 秀隆, 塚本 泰正, 佐野 文彦, 増田 正晴, 奥田 啓二, ...
    2005 年 37 巻 9 号 p. 789-790
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    慢性心不全患者におけるACE阻害薬の心房電気的リモデリングに対する効果を,左室駆出率40%未満の安定した慢性心不全患者63例を対象に検討した.患者登録時におけるACE阻害薬投与群(47例)とACE阻害薬非投与群(16例)の患者背景に相違は認められず,3年間のフォローアップ後に,ACE阻害薬非投与群ではフィルター化P波幅の有意な延長が認められ,フィルター化P波幅はACE阻害薬投与群では非投与群に比べ有意に小さくなった.また,ACE阻害薬非投与群では投与群に比べて,心房細動の新規発症率が高くなる傾向が認められた.これらの知見から,ACE阻害薬が心房細動発症の基質となる心房線維化を効果的に抑制し,このことがACE阻害薬投与群における心房細動発症率の低下傾向に関与したと考えられる.
  • 小松 隆, 中村 紳, 鈴木 修, 堀内 大輔, 蓬田 邦彦, 奥村 謙
    2005 年 37 巻 9 号 p. 791-792
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    発作性心房細動(PAF)例に対する多剤抗不整脈薬療法の洞調律維持効果(慢性化阻止効果)をACE阻害薬(エナラプリル2.5-5mg/日)併用の有無により2群に振り分け比較した.
    全例を対象としたPAFの慢性化阻止率は,ACE阻害薬併用群とACE阻害薬非併用群洋との問で有意差を認めなかった.しかし,病歴期間3カ月未満例を対象とした慢性化阻止率は,観察期間48カ月目時点でACE阻害薬併用群が34/35例(97.1%),ACE阻害薬非併用群57/69例(82.6%)であり,併用群は非併用群に比し有意に高率であった(P<0.05).病歴期間3カ月未満例の洞調律維持期間も,ACE阻害薬併用群54.8±30.8カ月,ACE阻害薬非併用群28.4±20.5カ月であり,併川群は非併川群に比し有意に高値であった(p<0.05).ACE阻害薬併用による多剤抗不整脈薬療法において良好な洞調律維持効果を得るためには,初発症状から見た病歴期間が3カ月未満例に対する早期投与が重要である.
  • 笠尾 昌史, 小平 真理, 新田 宗也, 野崎 みほ, 杉下 靖之, 白井 徹郎
    2005 年 37 巻 9 号 p. 793-795
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    われわれは,持続性心房細動例における電気的除細動後の洞調律維持に,アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)がどのように影響しえたのかを後ろ向きに検討した.
    対象は持続性心房細動を有し電気的除細動を施行しえた連続59例中,除細動に成功し2週間以上洞調律が得られた42例(男性41例,女性1例)である.年齢は平均53±10(24-76)歳,心房細動の罹病期間は平均26±36(1-140)カ月であり,何らかの基礎心疾患を18例で認めた.除細動後の洞調律維持に用いた抗不整脈薬の内訳はシベンゾリン22例,ベプリジルll例,アミオダロン4例,その他の薬剤が5例であり,16例でARBが併用されていた.使用したARBはカンデサルタンのみで,その用量は平均5±3(2-12)mg/日であった.平均31±26(1.4-87.0)カ月間の経過観察中に洞調律が維持されていたのは15例(36%)であり,24例で心房細動の再発を認め,3例は追跡不能であった.ARB併用の有無と洞調律維持との関連を検討すると,洞調律維持例は,ARB併用群では15例中8例(53%)に認められたのに対し,単独群では24例中7例(29%)にすぎず,ARB併用群で洞調律維持例が多い傾向を認めたが,統計学的有意差を認めなかった.
    今回の後ろ向きの検討では洞調律維持に関するARBの併用効果を明らかにしえなかったが,ARB併用群は単独群に比し対象の年齢が有意に高いこと,基礎心疾患を有する例が多いことなど,洞調律維持に不利な条件を有していたことを考慮すべきで,今後のさらなる検討が必要と思われた.
  • 山口 博明, 小宮山 浩大, 伊藤 晋平, 小泉 章子, 辰本 明子, 谷井 博亘, 水澤 有香, 永島 正明, 酒井 毅, 呉 正次, 岡 ...
    2005 年 37 巻 9 号 p. 796-797
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    発作性心房細動(PAF)および持続性心房細動症例のうち,抗不整脈薬によって洞調律維持を試みた251例を対象に,I群抗不整脈薬およびベプリジルの洞調律維持効果に対するARBまたはACE阻害薬(ARB/ACE阻害薬)の併用効果を後ろ向きに検討した.PAFに対する有効率は,I群抗不整脈薬にARB/ACE阻害薬を併用すると非併用群に比し有意に高く,ベプリジルとI群抗不整脈薬の併用群およびベプリジル単独群では高い傾向が認められた.一方,持続性心房細動においてもARB/ACE阻害薬を併用すると,I群抗不整脈薬使用群では洞調律維持率が有意に高く,ベプリジル群においても洞調律維持率は高い傾向が認められた.これらの結果から,心房細動症例の抗不整脈薬による洞調律維持効果は,ARB/ACE阻害薬の併用により改善する可能性が考えられた.
  • 安田 正之, 中里 祐二, 西澤 寛人, 土屋 洋人, 佐々木 怜聡, 山下 晴世, 河野 安伸, 飯田 洋司, 中里 馨, 戸叶 隆司, ...
    2005 年 37 巻 9 号 p. 798-800
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    発作性心房細動(PAF)でベプリジル(Bpd)投与中の191例(年齢66±11歳,男性139例)に対するACE阻害薬(ACE-I)とARB(ACE-I/ARB)併用の有用性を後ろ向きに検討した.基礎疾患は高血圧,僧帽弁弁膜症,虚血性心疾患などで,心エコー上,左室駆出率(EF)69±9%,左房径38±6mmであった.
    191例中155例(81%)で予防効果を認め(平均観察期間16.2カ月),有効例と無効例では年齢,Bpd用量,EF,左房径に差はなかった.ACE-I/ARB併用の60例と非併用群131例の臨床背景では,年齢Bpd用量,EF,左房径に差はないが,高血圧は併用例で35例(58%)と非併用例の54例(41%)より多い傾向がみられた.ACE-I/ARB併用群60例中49例(82%),非併用群131例中106例(81%)で予防効果がみられ差はなかった.次に,高血圧を除外した102例中,予防効果は併用群15例中13例(87%),非併用群87例中73例(84%)でみられ差はなかった.
    PAFに対するACE-IもしくはARBの併用効果は明らかではなかった.
  • 基礎からのアプローチ
    熊谷 浩一郎
    2005 年 37 巻 9 号 p. 801-804
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    われわれは,心房筋の電気的・構造的リモデリングに対するARBの影響をイヌ心房細動モデルで検討した.その結果,ARB群では問質線維化抑制により,対照群に比し有意に心房内伝導遅延が抑制され心房細動慢性化が予防されていた.
    一方,炎症モデルである心膜炎心房細動モデルにおいて抗炎症作用薬(スタチン)の効果を検討したところ,スタチン群で対照群よりCRP値上昇の有意な抑制,心房細動持続時間の有意な短縮,心房有効不応期短縮の有意な抑制,心房内伝導時間延長の有意な抑制が認められた.線維化率もスタチン群の方で低かった.
    以上の結果は,ARBやスタチンの心房細動に対するupstream治療の有用性を期待させるものである.
  • 臨床からのアプローチ
    山下 武志
    2005 年 37 巻 9 号 p. 805-808
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    臨床における心房細動に対するupstream治療としては,ARB,ACE阻害薬,β遮断薬,スタチンなどを使って新規発症や再発に与える影響をみた報告がある.このうちARB,ACE阻害薬などは,生命予後を評価する大規模臨床試験におけるサブ解析あるいは後付け解析として得られたデータに留まるものの,メタ解析からその有用性が示唆される.スタチンの心房細動新規発症・再発に対する有用性は,まだ十分には示されていない.
    発作性心募細動(PAF)にupstream治療を行うことで進展を予防するという臨床家の願いが可能かどうかは,多施設・無作為化のもと携帯型電話転送心電図を使った信頼度の高い臨床試験でこそ確かめられなくてはならない.日本においてわれわれの手で,その解答が得られることを期待したい.
  • 2005 年 37 巻 9 号 p. 809-811
    発行日: 2005/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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