心臓
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第19回 心臓性急死研究会 マルチスライスCTにて心破裂を診断し得た2症例
廣瀬 雅裕三橋 武司中神 理恵子新保 昌久山本 啓二勝木 孝明島田 和幸
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2007 年 39 巻 Supplement3 号 p. 12-19

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抄録

症例1:80歳,女性.急性心筋梗塞の疑いで入院.心電図はII,III,aVFにST上昇.心エコーで後下壁運動低下・心嚢液貯留あり.造影CTで大動脈解離は否定.冠動脈造影で左回旋枝狭窄病変を認めた.心タンポナーデを呈したため穿刺にて血性心嚢液排液し血行動態は改善.マルチスライスCTで左室後壁に菲薄化を認め,心筋シンチ・冠動脈狭窄部位と一致し心筋梗塞に伴う心破裂と診断.
症例2:73歳,女性.胸背部痛で近医受診.心電図はII,III,aVFでST上昇.一時ショック状態となり当院搬送.造影CTでは大動脈解離は否定的であったが心嚢液貯留あり.心エコーでは壁運動異常なく血行動態も安定したため保存的に加療.マルチスライスCTでは左室後壁に菲薄化あり心破裂と診断.
急性心筋梗塞の浸出性心破裂は臨床経過や心エコーのみでは確定診断に至らないことも多いわれはマルチスライスCTにて左室の菲薄化を明瞭に描出し心破裂の診断に至った2症例を経験したので報告する.

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