心臓
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第20回 心臓性急死研究会 心臓再同期療法(CRT)後に頻発した心室頻拍にCRTの催不整脈作用が疑われた1例
三好 史人伊藤 啓之小貫 龍也箕浦 慶乃河村 光晴浅野 拓丹野 郁小林 洋一
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2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 102-106

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抄録

心臓再同期療法(CRT)の催不整脈作用は不明な点が多い.今回われわれは,CRT導入後に頻発し心室頻拍(VT)にCRTの催不整脈作用が疑われた1例を経験した.
症例は虚血性心疾患(重症三枝病変)の男性.薬剤抵抗性の心不全で,非持続性心室頻拍(NSVT)と心室収縮の非同期性を認め,CRT-D導入した.心不全改善の面でCRTは著効したが,CRT導入後からVT頻発し,ICD頻回作動した.VTは左脚ブロック-上方軸型の単形性VTで,心拍数210/分であった.Transmural dispersion of repolarization (TDR)がCRT導入後からVT出現時にかけて80msから150msに延長していたことから,CRTで貫壁性再分極時間のばらつきが増大したと考えられ,CRTの催不整脈作用と思われた.

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