心臓
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第20回 心臓性急死研究会 著明な除細動閾値高値を示した心室細動蘇生の1例
杉山 裕章相良 耕一大塚 崇之山下 武志平野 景子朝田 一生山田 純也御厨 彰義田邉 大明澤田 準傅 隆泰相澤 忠範飯沼 宏之香山 大輔森井 健
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2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 95-101

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抄録

症例は65歳,男性.拡張型心筋症および慢性腎不全にて他院フォロー中であったが,2007年6月に透析中に心室細動(VF)を発症し電気的除細動で蘇生された.心臓突然死2次予防の植込み型除細動器(ICD)適応とされ当院紹介された.著明な心拡大・心機能低下を伴う有症候性心不全(NYHAクラスIII)を考慮し両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)の方針とした.術前の静脈造影にて左上大静脈遺残が確認されたため右側胸部植え込みを余儀なくされた.除細動閾値(DFT)テスト時に誘発されたVFは最大出力(30J)でも停止不能であり,以後,高出力デバイス(36J)への交換,プログラミング変更(極性変更,リード先端位置変更,上大静脈コイル除外,active can機能中止,除細動波形調節),皮下アレイ植込みなどを順次施行したが確実な除細動は得られず体外式除細動を要した.本症例は今後その使用増加が予想されるCRT-D治療において示唆に富むhigh DFT症例であると考えられるため報告する.

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