心臓
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第20回 心臓性急死研究会 院外心停止に冠攣縮の関与が疑われた1例
安田 聡高橋 潤下川 宏明
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2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 132-137

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抄録

症例は42歳,男性.2007年1月午前8時ころ出勤途中の駅で突然倒れ,居合わせた医師が心肺蘇生(CPR)を施行.モニター装着時心室細動(VF)で自動体外式除細動器(AED)による除細動が行われ心拍再開.近医搬送後緊急冠動脈造影(CAG)が施行されたが有意狭窄は認められなかった.しかしながら低体温療法中に再度VFとなり,除細動後の心電図でST上昇が認められたため2月精査加療目的に当科紹介となった.アセチルコリン(Ach)負荷試験では,左前行枝・回旋枝ともに完全閉塞となり,胸痛・心電図変化を伴い冠攣縮性狭心症と診断した.後日施行したEPSにおけるイソプロテレノール負荷下のプログラム刺激ではVT/VFは誘発されなかった,Ca拮抗薬(2剤)・硝酸薬・ニコランジル投与1カ月後再度Ach負荷試験を施行したが前回と同様の結果であった.治療抵抗性冠攣縮と考えスタチンを追加投与するとともに最終的に植込み型除細動器(ICD)植え込みを行った.重症冠攣縮性狭心症に伴うVFに対するICD適応については今後検討を重ねていく必要があると思われる.

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