心臓
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第20回 心臓性急死研究会 マラソン中に心肺停止となった1例
田中 正道野坂 和正多田 毅福家 総一郎西井 伸洋永瀬 聡岡 岳文草野 研吾大江 透河野 康之小松原 一正
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2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 138-143

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抄録

49歳,男性.マラソン中に心肺停止となり,救急車内で心室細動(VF)に対し電気的除細動を行い洞調律に回復した.心筋シンチグラフィで心筋虚血所見は認めなかったが,運動負荷心電図検査では陽性であった.冠動脈造影では右冠動脈近位部(#1)に75%狭窄を認め,アセチルコリン負荷にて#1に99%狭窄が出現し,胸痛と心電図変化を認めた,VF発生に冠攣縮による心筋虚血の関与が考えられたため,Ca拮抗薬の投与に加え,#1の器質的狭窄に対してステントを留置した.後日行った電気生理学検査ではVFは誘発されず,再度アセチルコリン,エルゴノビン負荷テストを施行したが,冠攣縮は誘発されなかった.ステント留置と冠拡張薬内服により心筋虚血が抑制されればVFの出現する可能性は低いと考え,ICD植え込みは施行しなかった.
冠動脈の器質的狭窄に冠攣縮を伴ってVFを発症し,ステント留置と薬物投与にて加療した1例を経験したので報告する.

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