2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 144-147
症例は77歳,男性.17年前に急性前壁心筋梗塞を発症し,低心機能による心不全増悪にて前医に入退院を繰り返した.2007年7月心室頻拍(VT)を契機とした心不全で1カ月入院.VT(120bpm,右脚ブロック上方軸)は薬剤抵抗性で心不全が改善しないため,アブレーション目的に当院へ転院した.転院時より腎不全急性増悪,肺炎合併による全身状態悪化を認め,人工呼吸器,IABP,PCPS,CHDFのサポート下に緊急アブレーションを行った.CARTOを用いactivation mapを作成,concealed entrainment,PPI,s-QRSを指標に回路を同定し左室前壁に認めたリエントリー回路の出口と考えられる部位で通電を行った.VTは通電中に停止し,誘発不能となった.集中治療を継続したが全身状態改善せず,永眠された.
本例では救命に至らなかったがVTアブレーションは有効な治療であり,VTによる心不全で治療に難渋する例は早期にアブレーションを行うことで病状の改善が期待できる.