心臓
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第20回 心臓性急死研究会 陳旧性心筋梗塞に合併した心室頻拍を原因とした心不全に対し緊急アブレーションを行った1例
仲井 盛水澤 有香小宮山 浩大北條 林太郎高野 誠小田切 史徳弓場 隆生久次米 真吾辰本 明子大塚 信一郎田辺 康宏深水 誠二手島 保櫻田 春水寺井 知子西崎 光弘平岡 昌和
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2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 144-147

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抄録

症例は77歳,男性.17年前に急性前壁心筋梗塞を発症し,低心機能による心不全増悪にて前医に入退院を繰り返した.2007年7月心室頻拍(VT)を契機とした心不全で1カ月入院.VT(120bpm,右脚ブロック上方軸)は薬剤抵抗性で心不全が改善しないため,アブレーション目的に当院へ転院した.転院時より腎不全急性増悪,肺炎合併による全身状態悪化を認め,人工呼吸器,IABP,PCPS,CHDFのサポート下に緊急アブレーションを行った.CARTOを用いactivation mapを作成,concealed entrainment,PPI,s-QRSを指標に回路を同定し左室前壁に認めたリエントリー回路の出口と考えられる部位で通電を行った.VTは通電中に停止し,誘発不能となった.集中治療を継続したが全身状態改善せず,永眠された.
本例では救命に至らなかったがVTアブレーションは有効な治療であり,VTによる心不全で治療に難渋する例は早期にアブレーションを行うことで病状の改善が期待できる.

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