心臓
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第20回 心臓性急死研究会 難治性心室性不整脈に対する静注用超短時間作用型β1遮断薬ランジオロールの効果
三輪 陽介池田 隆徳米良 尚晃榊 桂宮越 睦石黒 晴久塚田 雄大阿部 敦子中村 健太郎柚須 悟信太 研二清水 尚志吉野 秀朗
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2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 148-155

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抄録

急性心筋梗塞などの経過中に心室細動/心室頻拍(VF/VT)によるelectrical stormをきたした場合,治療抵抗性となりしばしば致命的な転帰をたどる.われわれはこのようなelectrical stormに対して,静注用の超短時間作用型β1遮断薬ランジオロールの効果を検討している.ランジオロールの投与は漸増法で行っており,こうすることで副作用としての血圧低下を最小限にとどめている.これまでの評価では,18例中15例(83%)で薬剤抵抗性のVF/VTの抑制に成功している(対象例のうち9例は最終的には多臓器不全などで死亡).実際の使用方法と経過について,ランジオロールが有効であった74歳,女性の実例を呈示した. この症例は, ランジオロールが奏効する場合の典型的な症例であったといえる.ランジオロールは重症心疾患に合併したVF/VT によるelectrical stormの抑制に有効と考えられ,今後,症例数を増やし,その有用性をさらに評価していく予定である.

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