心臓
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第20回 心臓性急死研究会 Brugada症候群によると思われる心室細動に対してAMDの静注が著効した1例
西 淳一郎日浅 謙一樗木 晶子小池 城司竹本 真生砂川 賢二
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2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 48-52

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抄録

症例は55歳,男性.重症筋無力症のため当院神経内科で経過観察中であったが,これまでに心疾患を指摘されたことはなかった.深夜,一過性の意識消失発作を主訴に当院救急外来を受診した.診察中の午前6時35分に再度突然意識消失をきたし,モニター心電図にて洞調律から心室性期外収縮(PVC)に引き続き心室細動(Vf)への移行を認めた.直ちに除細動を施行し,洞調律へ復帰した.しかし,7時20分にもPVCに引き続きVfとなり除細動を再度施行した.来院時,洞調律での心電図で右脚ブロック波形およびV1~V3でのcoved型ST上昇を認め,Brugada症候群によるVfが疑われ当科に緊急入院となった.入院後,リドカインやMg製剤の投与を行うも,PVCに引き続くVfが頻発した.このため,アミオダロン(AMD)の持続静注を開始したところ,それまで出現していたPVCが完全に消失し,Vfも認めなくなった.その後AMDの経口薬へ変更した.Brugada症候群に対するAMD投与例の約30%に突然死を認めるため,後日植込み型除細動器(ICD)植え込み術を行った.その後の外来経過観察にてもPVCはほとんど認めず,Vfの出現もない.本症例におけるVfはすべてR on Tに引き続いて出現しており,トリガーとなるPVCの抑制によりVfを予防することができたと考え,このような症例の初期治療としてAMDの静注薬は有用であると考えられた.

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