心臓
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第20回 心臓性急死研究会 就寝中に心室細動を発症した先天性QT延長症候群(LQT1)の1例
松本 真小谷 英太郎吉田 博史堀江 格緒方 憲一田寺 長草間 芳樹新 博次堀江 稔
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2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 53-59

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抄録

症例は23歳,男性.既往歴,家族歴なし.午前7時ころ,就寝中に突然意識消失.救急隊が心室細動を確認,心肺蘇生を行いながら救命センターに搬送.低酸素脳症による視野狭窄を残すも低体温療法により全身状態改善,第22病日に精査目的で当科に転科.心肺蘇生直後の心電図では一過性に不完全右脚ブロック,V1,V2誘導のST上昇,QT延長(QTc 0,560秒)を認め,Brugada様心電図を認めたが経過とともにQTc 0.465秒に改善.血清電解質異常なし.心エコー図にて左右房室拡大なし,壁運動異常なし.冠動脈造影にて有意狭窄なし,アセチルコリン負荷試験陰性.LP陰性,TWAは陽性であった.電気生理学的検査で心室細動は誘発されず,Brugada症候群との鑑別のためピルジカイニド負荷試験を行うも陰性.以上より入院中に心室細動を来す原疾患を特定できなかったが,植込み型徐細動器植え込みを行った.後に遺伝子解析にてKCNQ1 W379Xの変異を認めLQT1と確定した.心室細動からの救命者で,確定診断に苦慮し遺伝子解析にてLQT1と確定し得たが,23歳で初発した就寝中の心室細動,およびW379Xの変異は従来の報告と異なりLQT1の非典型例と考えられた.

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