心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
研究 心筋線維症あるいはそれに類似の状態に見られる僧帽弁UCGの異常パターンについて
仁村 泰治永田 正毅別府 慎太郎玉井 正彦山田 義夫松本 正幸松尾 裕英阿部 裕
著者情報
ジャーナル フリー

1974 年 6 巻 4 号 p. 482-490

詳細
抄録
僧帽弁前尖UCGで,その前収縮期ピークの下行脚がおおむねその中間のレベルで暫し棚状に滞溜することがある.これは1つには心筋線維症,あるいは心筋硬塞などの心筋疾患に見られる.この際,僧帽弁前尖UCGの拡張初期ならびに前収縮期のピークが尖鋭で,幅が狭い傾向がある.上述のパターンは,急速流入の初期には心室壁はある範囲内は抵抗なしに拡るが,それを超えると急にコンプライアンスの低下が現れることを示唆し,心筋の状態を反映するものと考えられる.なお上のパターンには心室が拡大していても,弁,腱索などがそれに応じて伸長せず,牽き延されたがごとき観を呈していることも関係しているかも知れない.肥大型心筋症の一部の例でも同様の棚形成が見られる.この疾患では左室拡張期讐ンプライアソスは拡張期の開始時より終始低いと考えられている.したがって前収縮期に低いことは上述の場合と共通であり,そのため弁運動の上に同様の影響を及ぼすものと思われる.
著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top