心臓
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6 巻, 4 号
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  • His束心電図による知見を中心にして
    望月 茂, 水谷 孝昭
    1974 年6 巻4 号 p. 461-475
    発行日: 1974/04/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    WPW症候群の病因については古来多くの説があるが最近の電気生理学の進歩,特にHis束心電図の普及と一部のWPW症候群における心表面心電図所見および外科的治療の結果などより副伝導路説が最も認められている.副伝導路としては古来Kent束が有名であるが,最近ではJames束,Mahaim束なども注目されている.His束心電図と心房ペーシングにより,(1)副伝導路の機能的な評価,(2)副伝導路の不応期の測定,(3)各種薬剤の正常伝導路および副伝導路に及ぼす効果の判定などが可能となった.現在までの外科的治療の結果では不成功例も多く再評価すべき段階にきている.外科的治療を考える場合適応の決定が最も大切であるが,さらに術前の充分な電気生理学的検査および術中の心表面心電図記録が重要である.また,一部のWPW症候群におけるペースメーカ治療も注目されつつある.
  • 左房平均圧との関連について
    野元 域弘, 松田 泰雄, 谷岡 猛, 椎木 利彦, 大田 宣弘, 藤野 巌
    1974 年6 巻4 号 p. 476-481
    発行日: 1974/04/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    肺動脈,左心房,左心室は,弛期において連続性をもつ一種の解放系と考えられるから肺動脈馳期終圧は,左心房平均圧,左心室彊期終圧をある程度反映すると考えられる.教室で右心カテーテル検査を施行した88例の弁膜疾患に関して,肺血管抵抗によって分類し,肺動脈弛期終圧と肺動脈圧襖入圧,他の研究者の式を使って計算された左心房平均圧との関連を検討した.その結果,肺血管抵抗150dyne・sec・cm-5/m2以下の症例では,肺動脈弛期終圧肺動脈圧襖入圧と考えてよく,ひいては,肺動脈圧弛期終圧から左心房平均圧,左心室弛期終圧を推測でき,右心カテーテル検査は,badsidoで施行出来るので,急性心疾患患者および重症心不全患者の診断や治療の指標として,肺動脈弛期終圧を用いることが出来ることを示唆した.
  • 仁村 泰治, 永田 正毅, 別府 慎太郎, 玉井 正彦, 山田 義夫, 松本 正幸, 松尾 裕英, 阿部 裕
    1974 年6 巻4 号 p. 482-490
    発行日: 1974/04/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    僧帽弁前尖UCGで,その前収縮期ピークの下行脚がおおむねその中間のレベルで暫し棚状に滞溜することがある.これは1つには心筋線維症,あるいは心筋硬塞などの心筋疾患に見られる.この際,僧帽弁前尖UCGの拡張初期ならびに前収縮期のピークが尖鋭で,幅が狭い傾向がある.上述のパターンは,急速流入の初期には心室壁はある範囲内は抵抗なしに拡るが,それを超えると急にコンプライアンスの低下が現れることを示唆し,心筋の状態を反映するものと考えられる.なお上のパターンには心室が拡大していても,弁,腱索などがそれに応じて伸長せず,牽き延されたがごとき観を呈していることも関係しているかも知れない.肥大型心筋症の一部の例でも同様の棚形成が見られる.この疾患では左室拡張期讐ンプライアソスは拡張期の開始時より終始低いと考えられている.したがって前収縮期に低いことは上述の場合と共通であり,そのため弁運動の上に同様の影響を及ぼすものと思われる.
  • とくに根治手術後の正常分娩例
    田中 孝, 宮越 洋二, 平井 敏雄
    1974 年6 巻4 号 p. 491-498
    発行日: 1974/04/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Fallot氏四徴症における妊娠・分娩の記録はぎわめて少なく,文献上見出しえた12症例中,10例においては,子供を生存させることが出来なかった.われわれはブレロック氏手術後の3例に,未熟児ながらも,生存例を得,さらに,26歳の1例に,根治手術後,妊娠を許可し,4,200gの健康な男児を,正常分娩せしめ得た.本症は,自然予後悪く,40歳を越えることはまれとされ,また,低酸素血症など,悪条件のために,胎児の発育障害を来たし易いため妊娠をすすめる事は出来ない.しかし,根治手術後は,正常な妊娠・分娩が可能であり,このような過程を経ることによって,本症患者の社会復帰に対して,明かるい希望が生ずる.Fallot氏四微症術後の4例における分娩経験を中心に,二・三の問題点についても論及したい.
  • 高橋 宣光, 太田 昭夫, 渡辺 熈, 内田 英一, 新谷 冨士雄, 渡辺 坦, 傳 隆泰, 飯沼 宏之, 藤井 諄一, 鈴木 啓吾, 小山 ...
    1974 年6 巻4 号 p. 499-510
    発行日: 1974/04/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    440例の心筋硬塞について経過・長期予後を検討し,次の結果を得た.再発は計65例(初回硬塞発症を確認した360例中54例)でみられ,発症後5,10年の再発率は20,37%であった.発症年齢の高いもの,女性,硬塞の広さが広範なもの,硬塞前に狭心症があったものおよび硬塞後狭心症の急性不安定期を呈したものに多くみられた.心不全は23%の例でおこり,高齢者,硬塞の広さが広範なもの,女性および再発後に多くみた.死亡は計115例(360例中92例)で・発症後5,10年の生存率は74, 45%.硬塞以前に狭心症を有したもの,硬塞の広さが広範なもの,硬塞後の狭心症が急性不安定期を有するときは予後不良.女性も不良高齢者ほど生存率は低下したが,硬塞の影響は発症年齢が若いほど大であった.死因の4分の3が心臓死で大部分が急死または初回硬塞・再発の急性期死亡であった.心不全死の多くは再発後のもので,初回硬塞急性期以降におこる心臓死の5分の1を占めた.
  • 榊原 高之, 龍野 勝彦, 安藤 正彦, 今野 草二
    1974 年6 巻4 号 p. 511-527
    発行日: 1974/04/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    割検あるいは開心術で診断確定したもの35例,非開心術のため心内より確かめ得なかったが,外観上間違いないと思われるもの3例,計38例のBVRVを検討し,VSDの位置により次のように分類した. (1) concordant subaortic VSD type, (2) coocordant subpu1monaly VSD type, (3) concordant unusual VSD type, (4) discordant type, (5) complicatedmtype, 心血管造影読影上,(1)心室大血管のつながり,(2)両大血管のconusの高さ,(3)両大血管の前後関係,(4)VSDの位置,(5) 肺動脈狭窄の有無が大切な点であり,これらにより上記分類はほぼ鑑別できる.
  • 由利 健久, 中島 真, 杉本 恒明, 上山 武史
    1974 年6 巻4 号 p. 528-532
    発行日: 1974/04/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は痙攣発作を主訴とする66歳の農婦である.60歳ごろに高血圧を指摘されている.昭和46年10月4日に右不全麻痺と失語で某病院に入院した.その後,不整脈を伴う痙攣発作を認め,軽快しないので,当科へ入院した.入院時,意識は清明,脈拍は60で不整.血圧は160/80mmHg.心胸郭係数0.64.心電図は洞性徐脈で,上室期外収縮,心室補充収縮があり,QTc O.65であった.入院後,心電図の連続記録で痙攣発作が一過性心室細動によることが判明し, Iidocain,quinidine,propranolo1,KCI を投与したが,無効であった.徐脈時に発作をみる傾向があったので,pacingrate70/分のdemand 型の体外型 pacemaker を挿入し, quinidine を併用したところ心室細動は起こらなくなった.後に植え込み型 pacemaker に変えた.現在外来で経過観察中であるが, 2年を経た現在,おおむね洞調律ないし心房細動で,ときに pacemaker rhythm, 心室期外収縮をみている.本例では pacemaker 挿入後,心室筋の機能的不応期の短縮が観察され,このことと心室細動発作消失との関係に興味がもたれた.
  • 西島 早見, 菅野 理, 日下 和昌
    1974 年6 巻4 号 p. 533-538
    発行日: 1974/04/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    最近,私どもは鏡燥型右胸心に心室中隔欠損症を合併した18歳, 男子症例を経験し,手術的治療によって治癒せしめ得たので報告する.患者は乳児期には気道感染が頻発したが以後発育に異常なく,最近体動時の呼吸困難を訴えて来院した.諸検査によって鏡像型右胸心に心室中隔欠損症を合併していることが判明したが,診断的には心電図,心血管造影法,右心カテーテル法などが有用であった.肺動脈圧は 55/13mmHg, 短絡率は87.5%であった.体外循環下に開心術を施行し直径1.Ocmの皿型心室中隔欠損を閉鎖した. 最近の文献調査によれば,鏡像型右胸心の約半数は心奇型を合併し,かつ合併奇型の約半数は大血管転位や総房室弁口遺残などの複雑心奇型であると言われている.しかし,ほかの約半数は根治手術が可能であって,しかもその手術成績は良好であので病態を精査の上手術療法を行なうことが好ましいと思う.
  • 野呂 崇, 中沢 誠, 森 克彦, 安藤 正彦, 三森 重和, 高尾 篤良
    1974 年6 巻4 号 p. 539-544
    発行日: 1974/04/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    長期生存した大動脈弁閉鎖症の2例を報告した.1例は82日生存し,カテ,アンギナなどにより生前臨床診断を下し得た本邦第1例目かと思われ,ほかの1例は生後33日目に外科的治療を施行したが死亡し,剖検により僧帽弁閉鎖を合併した症例である.本症における血行動態は,右室のみが肺血流,体血流を鞘出する心室となっており,長期生存するためには肺血流,体血流のバランスがとれていることが必要であることを文献的に考察し,あわせて現在まで行なわれている外科的治療法以外に動脈血酸素飽和度が80%以上の症例に対しては緊急に両側肺動脈の絞苑術を行なうことは試みられて良い方法ではないかということを述べた.
  • 田嶋 経躬, 村上 健志, 阿部 光樹, 久米 弘洋, 龍野 勝彦, 今井 三喜, 益子 幸子
    1974 年6 巻4 号 p. 545-552
    発行日: 1974/04/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    左冠状動脈洞から発生した mycotic aneurysm の症例は本邦ではその報告をみない.われわれは最近,その2剖検例を経験したので,報告し,合せて mycotic aneurysmの発生頻度,発生部位,発生機序,外科治療などについて文献的考察をつけ加えた.症例1は52歳の男性で,約3年前に大動脈弁閉鎖不全症と診断されて以来,胸部圧迫感と呼吸困難発作を有していた.発症時期は不明であるが,37~38℃ の発熱があり,心内膜炎を考え,抗生剤を大量投与したが,胸痛発作持続と心不全のため,大動脈弁置換術を施行した.左冠状動脈洞より発生した動脈瘤が発見された.症例2は42歳男性で,咳蹴および発熱を主訴として入院,入院時,血圧118/40,心胸郭比60%,大動派弁狭窄兼閉鎖不全症に心内膜炎合併例と考え,抗生剤,強心剤,利尿剤により軽快,大動派造影上,基部に動脈瘤陰影をみた.後日心不全にて死亡し,左冠状動脈洞から発生した動脈瘤を確認した.
  • 心房ペーシングによる心室性不整脈の治療効果
    青崎 正彦, 細田 瑳一, 宮田 捷信, 川守田 英男, 渋谷 実, 広沢 弘七郎
    1974 年6 巻4 号 p. 553-560
    発行日: 1974/04/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    最近,われわれは,二次孔心房中隔欠損症(二次孔 ASD)に,軽度のリウマチ性僧帽弁閉鎖不全症(MI)を合併した47歳の女性で,うっ血性心不全の発症以来,心室性不整脈を主徴とし,心室細動を繰り返えし,約50日間の短い縄愚で死亡した1剖検例を経験した.二次孔 ASD+MI,ASD とも,心不全の出現する夫期に上室性不整脈を合併することは多いが,著明な心室性不整脈の合併は少ない.本例では,それが主徴をなし,あらゆる抗不整脈削による治療に抵抗し,不整脈死に至る特殊な経過をたどった.この不整脈の原因に関する考察を行なった.本例の心室性頻拍性不整脈に対し,抗不整脈剤は無効であり,一方, atropine による洞頻脈の誘発が心室性期外収縮を抑制したので,約90時間にわたり心房ペーシングを行ない,心室性不整脈の抑制を認めたが,徐々に効果は減退し,心室細動を繰り返えして死亡した.薬物治療で効果を見ない不整脈例では,ペーシソグによる治療を検討すべきである.
  • 内藤 達男, 永沼 万寿喜, 松尾 準雄, 島田 宗洋, 清水 興一, 秦 順一, 大島 正浩, 岡田 了三
    1974 年6 巻4 号 p. 561-568
    発行日: 1974/04/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    くも状指趾,全身筋緊張低下,老人様顔貌漏斗胸,関節の過伸展などの諸症状を呈し,僧帽弁閉鎖不全による心不全のため1歳1ヵ月で死亡したMarfan症候群の1例について述べる.本症例の心臓の病理学的所見として,肉眼的には,両室の拡張肥大,僧帽弁輪の拡張,腱索の繊細,延長,断裂,弁尖の突出反転が認められた.また組織学的には,酸性ムコ多糖類の心血管結合織内でのび慢性増盤,膠原線維,弾力線維の増加および線維束の離開,変性が特微的に認められた.本症例の僧帽弁閉鎖不全は,Marfan症候詳の原病変によって,僧帽弁の腱索が繊細化し,延長,断裂した結果,僧帽弁後尖の一部が,左心房側へ突出反転したことにより生じたものと考えられる.
  • 心房ペーシングとHis束心電図による検討
    棚橋 淑文, 外山 淳治
    1974 年6 巻4 号 p. 569-575
    発行日: 1974/04/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    最近,われわれは持続性心房停止の症例(19歳,男)の右心房ペーシングに成功し,同時に記録したHis束心電図から電気生理学的検討を加えた.ペーシソグに対して心房は通常の強さの刺激電流(1~10mA)では興奮せず,その2倍以上(18mA)の電流によりはじめてペーシソグに応じた.またペーシング時の心房内伝導時間の著しい延長(130msec,正常は10~50msec)などから心房の著しい興奮性低下と心房内ブロックの存在が考えられた.さらに房室結節内伝導時間の延長(160msec,正常は50~125msec)があり,房室結節にも伝導障害がおよんでいた.さらにoverdrive suppression後のrecoverytime(自動能回復時間)の著しい延長(7秒,正常は1.5秒以下)があり,心臓自動能低下も認められた.かくて,その発症年齢が若い(11歳)ことも考え合わせ,心房にびまん性の変性病変をもたらす先天性疾患をその基礎疾患として推定したが,心外膜・皮膚・直腸生検で,それを証明することはできなかった.
  • (1)内科的側面
    石川 嘉市郎
    1974 年6 巻4 号 p. 577-589
    発行日: 1974/04/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 有田 真
    1974 年6 巻4 号 p. 592-603
    発行日: 1974/04/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 渡部 良夫
    1974 年6 巻4 号 p. 604-616
    発行日: 1974/04/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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