心臓
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症例 僧帽弁閉鎖不全を伴ったMarfan症候群の1乳児剖検例
内藤 達男永沼 万寿喜松尾 準雄島田 宗洋清水 興一秦 順一大島 正浩岡田 了三
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1974 年 6 巻 4 号 p. 561-568

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抄録
くも状指趾,全身筋緊張低下,老人様顔貌漏斗胸,関節の過伸展などの諸症状を呈し,僧帽弁閉鎖不全による心不全のため1歳1ヵ月で死亡したMarfan症候群の1例について述べる.本症例の心臓の病理学的所見として,肉眼的には,両室の拡張肥大,僧帽弁輪の拡張,腱索の繊細,延長,断裂,弁尖の突出反転が認められた.また組織学的には,酸性ムコ多糖類の心血管結合織内でのび慢性増盤,膠原線維,弾力線維の増加および線維束の離開,変性が特微的に認められた.本症例の僧帽弁閉鎖不全は,Marfan症候詳の原病変によって,僧帽弁の腱索が繊細化し,延長,断裂した結果,僧帽弁後尖の一部が,左心房側へ突出反転したことにより生じたものと考えられる.
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