心臓
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研究 急性心臓死例の冠状動脈硬化とくに心臓破裂例についての検討
小沢 利男半田 昇岸本 篤郎奥平 雅彦
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1975 年 7 巻 1 号 p. 10-18

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抄録

心筋硬塞44例を含む突然死102例の冠状動脈を検索し,加齢に伴う動脈内腔の狭窄を認めた.心筋硬塞例は,最も高度の狭窄を示した.心重量も加齢とともに増加するが,心筋硬塞例は,とくに心重量が大であった.ただし心臓破裂の例は,非破裂例に比べ,有意に軽かった.
心筋硬塞44例を,心臓破裂の20例と非破裂24例とに大別して検討した.一般に破裂例は,高齢者,女子に多かった.非破裂例では,冠状動脈三枝とも高度の狭窄を示す例が多いが,血栓は12.5%に過ぎず,硬塞部位は後壁ないし心内膜下に限局することが多く,主として陳旧性である.これに対して破裂例は,約半数では冠状動脈三枝中二枝の狭窄が軽度であった.血栓は75%と高率で,硬塞部位は前壁から側壁および心尖に好発し,陳旧性硬塞を合併することはまれである.なお急性心臓死の発作は夜間から明方にかけて多かった.

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