心臓
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研究 老年者虚血性心疾患におけるisoproterenol負荷時の心電図および血行動態の評価
藏本 築松下 哲三船順 一郎吉田 広海桑島 厳坂井 誠村上 元孝
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1975 年 7 巻 1 号 p. 3-9

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抄録

老年者虚血性心疾患の心機能,冠狭窄の評価をisoproterenol(IP)0.02μg/kg/分,5分負荷前後の血行動態,心電図の変化から推定した.剖検所見との対比ではIP負荷前に比し負荷後0.5mm以上のI型(水平または下向型)ST低下は50-75%以上の冠狭窄を示すよい指標といえる.冠不全例で陽性Tを示すものはIP負荷後Tの減高するものが多いが,陰性Tは正常化を示した.運動負荷との対比では,同様なSTの変化を示したが,ST低下の程度はIP負荷の方が著明であった.血行動態の反応において,負荷により虚血性ST変化を示す冠不全群ではIPによる心拍数,心拍出量の増加が大であり,β受容体反応性の充進が推定された.心筋硬塞では安静時,IP負荷後とも心係数は小さく心機能の低下が考えられた.IP負荷試験は副作用も認められず,心機能,冠硬化の推定に有用である.

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