心臓
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臨床 PR短縮,正常QRS症例のHis束心電図的研究
鶴羽 義明一ノ瀬 進高木 誠
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1975 年 7 巻 1 号 p. 51-57

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抄録

“PR短縮,正常QRS症例”のHis束心電図的検索を行なった.対象は12例で,洞調律時,AH時間は30-80msec,HV時間は26-46msecでAH短縮が認められた.全例に心房ベーシング,一都に単発の心房早期刺激を行な眠AH時間の変動を観察した.その結果,AH時間の変動には2つのパターンが認められた.3例(I群)は一定の刺激範囲内ではAH時間はほとんど変化を示さなかった.9例(II群)は刺激に対してAH時間が漸増を示すが,量的には非常に少ない傾向を示し,刺激レート毎分150以上では急激なAH時間の延長を示した.I群は房室結節を完全バイパスするバイパス系が存在し,II群は房室結節を部分的にバイパスする部分バイパス系が存在するものとして説明を試みた.レート毎分150付近でAHが急増するのは,バイパス系が不応期になるためと考えた.

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