心臓
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臨床 進行性全身性硬化症における心電図,ベクトル心電図および空間速度心電図の検討
坂本 保己奥田 正治西戸 孝昭佐野 豊美
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1975 年 7 巻 1 号 p. 58-65

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抄録

全身性進行性硬化症8例について,その臨床病態と対比して心電図,ベクトル心電図および空間速度心電図を検討した.
心電図では第1度房室ブロック2例,および房室性期外収縮1例を認めたほかは明らかな異常はなかった.これら3例とも心肺不全の明らかでない若年例であることから,本症の心筋侵襲に直接由来する変化と考えた.一方,ベクトル心電図では,T環の回転および方向異常から右室負荷を示唆されるもの2例,およびP環の前方偏位から右房負荷の示唆されるもの2例を認め,いずれも肺の線維症および拘束型肺機能低下の明らかな4例に一致したことから,ベクトル心電図による本症の肺性心診断の有用性が考えられた.また,空間速度心電図でQRS環描記速度波形に4例でノッチを認め,この所見が心筋硬塞にも共通したものであることから,本症における心筋傷害を反映している可能性が示唆された.また,本症において,心電図以外にベクトル心電図および空間速度心電図を併用することによって,さらに広く心室負荷または心筋傷害が見下され得ることを述べた.

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