心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
臨床 亜硝酸アミルの心電図STおよびT波に及ぼす影響
田中 敏行関 顕藤井 潤
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 7 巻 14 号 p. 1627-1633

詳細
抄録

亜硝酸アミル(AN)吸入の心電図に及ぼす影響をみるため,76症例に安静臥位で20秒間AN吸入負荷を行ない, 負荷前後の心電図変化と心拍数(HR), 血圧(BP), tension time index(TTI)の変化を対比した.
HRは吸入開始30秒後から1分後まで増加し, BPは30秒後著明に降下するが,1分後には前値に復した. TTI は30秒後減少したが,1分後には前値に復するか, 軽度に増加した.
心電図のRおよびSは吸入前後でほとんど変化せず, STも47例(62%)は不変であった. T波は吸入前V5誘導で陽性Tを有した31例中19例(61%)で減高し, -0.1mVまたはより深い陰性Tは41例中35例(85%)で, -0.5mVまたはより深い陰性Tは23例の全例で浅くなった.
T波の変化は30秒後から1分後まで認められ,2分後には前値に復する傾向にあった. T波の変化とHRの変化とは時間的に同様の経過を辿ったが, 両者間で変化の大きさには相関は認められなかった. AN吸入後のT波の変化の機序につき, 反射性交感神経緊張が関与している可能性を考察した.

著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top