心臓
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研究 熱希釈法による心内左-右短絡の検出と定量
山城 正敏加藤 紀久渡部 哲也
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1975 年 7 巻 3 号 p. 297-308

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抄録

熱希釈法を用いて,心房中隔欠損症(ASD)23例,心室中隔欠損症(VSD)4例,動脈管開存症(PDA)2例の計29例について,左-右短絡,肺血流量および体血流量を測定した.冷却生食水を右心系の各所に注入し,全例について肺動脈,右心室および右心房で熱希釈曲線を記録した.右心室注入-肺動脈記録または末梢肺動脈注入-肺動脈記録の場合に,最も鋭敏に短絡を検出でき,4%の微量短絡をも明瞭に識別することができた.本法では,色素希釈法に比し,主として注入熱が肺毛細管床を通過する際の時間因子の遅延による誤差因子が介在する,しかし,実際の測定値の平均についてみると,色素法とよく一致をみた.肺血流量の測定には,大量短絡の場合でさえ初回循環曲線の下降脚の外挿が可能である右心室注入一肺動脈記録が最も正確であると考えられる.熱希釈法は,短絡疾患における短絡部位の決定,短絡率および肺血流量の測定に.有力な診断法であると考えられる.

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